memo/20251026
created 2025-10-26 modified 2025-11-01
夢を叶える3つの「あ」
当時、中学生だったか、高校生だったかな。FMの深夜放送を聞いていて、ほほうと思ったことがありました。リスナーさんのお悩みに、パーソナリティーさんが答えるような内容だったと思います。ラジオパーソナリティーって独特な言い方ですけど、ラジオ番組を進行する、主役の方を指します。
夢を叶える3つの「あ」があります、と。何かというと
- 「あ」せらない
- 「あ」わてない
- 「あ」きらめない
このコトバがどんな文脈、どんな状況で出てきたのかは、もう忘れてしまいましたが、強く記憶に残っている。すごいですね。中高生のときに聞いた話だとしたら、もう約40年前ってことです。
で、自分としてはこの3番目の「あきらめない」は、時々危険なことがあるとは思っていまして、現実の仕事現場には、その場から逃げなきゃいけないような状況、も、あると思っています。
なので少し更新して、以下を心がけようとしています。
- 「あ」せらない
- 「あ」わてない
- 簡単には「あ」きらめない
お客様の現場に入って、数カ月から1年とか常駐していると、その現場の方々の強いところ、何をビジネスとしているのか、が見えてきたりします。また逆に、その現場の方々がうまくできていない、問題点も見えてきたりします。
若い頃の自分は、その問題点を解決するソフトウェア・フレームワークを作って、ドヤ、と思ったりしていたのですけど、今ひとつ伝え方というか、提案の仕方が悪かったな、などと思い出します。
あるIP通信の現場で。通信プロトコルのレイヤーのソフトを、組み込み機器ハードと組み合わせて売る方々だったのですけど、
- 問題: せっかく作った 通信プロトコルのレイヤー処理 を、別の案件で再利用できていない
という状況があったのですね。
もう少し詳しく書くと、そこの現場でのプロジェクト文化として
- 問題詳細: ある案件での、プロトコルのスタック構造(=積み上げ方)を前提に、受信側、送信側、というまとまりでコードが作られていて
- 問題詳細: その中から、特定のレイヤーだけを再利用することが、できない
で、自分はあるプロジェクトでフレームワークのメイン部分を作らせてもらえる状況になったので、その「通信プロトコルのレイヤー を再利用しやすい」フレームワーク を作って、自分達のチームの基盤とし、かつ、そのフレームワークを 横のプロジェクトさんもどうぞ使ってみてくださいね、とやりました。で、お隣プロジェクトの1つは採用を検討し、お隣プロジェクトの1つは全然、別の方式で対応されていました。
どんなフレームワークだったか
簡単にいうと、受信パケットの解読と、送信パケットの組み立て処理を、プロトコルの内容云々に関わらず、共通で使えて、スタック順序なども入れ替えができるような、フレームワークにしました。
受信側は、まぁ頭から読んでいくのですけど、送信側を、コンパイラのNパス方式の真似というか、2回に分けてメイン側から呼び出すのです。
- 呼び出し1: 今あなたをパケット化したら何バイトになりますか? (見積もり依頼みたいなもの)
- 呼び出し2: ではでは、このアドレスからあなたをパケット化してください (実際の製造依頼みたいなもの)
こうすると、
- 送信パケットを上位レイヤーから組み立てていけるし、
- 上下の隣接
パケットレイヤーに対し、無知を貫く、あるいは何を問い合わせるかが明示的となり、独立性の高いコードも作りやすい
でメイン部は、「通信レイヤー」クラスの積み上げの情報を持っていて、
- 受信側は、バッファーの若番地から、下位レイヤーからの順で解読依頼をし
- 送信側は、バッファーの老番地から、上位レイヤーからの順で組立依頼をし
パケットの解読・作成と、送信・受信の部分を分けることができる。
そして、送信・受信という、動作機能のまとまりではなく、通信プロトコルのレイヤーという、ビジネスの売り物・ノウハウのまとまりで、コードを固めることができる。とかとか、そんなものでした。つまり、ソフトウェア仕事現場の問題に、ソフトウェアの構造で、解決をもたらそうとしたのです。このサイトの先頭でも、どこかのページでも、「家や橋を作るとき、材料を三角やアーチに組む」みたいな話をしているのは、そういうことです。
自分ではいいものが作れたと思ったし、自分のチームは要求性能のたしか9倍くらいの性能が出て、プロジェクトは無事に閉じようとしていたのですけど、おとなりのプロジェクト(別の方式のほう)は、ものすごい炎上状態になっていて。たいへんだったみたいです。
プロジェクトの進行の失敗状況、その状況に至る経緯(いろいろありました)なども見ていた自分は、辟易というか、虚脱感、あきらめ感に襲われて、その関連プロジェクトから離れたいと思って、その方向で営業的に動いてしまったのです。
数年後、同じ駅の別の現場で働いていたのですが、自分のフレームワークを引き継いでくださったベテランの方に、ばったり逢いました。飲み会の帰りだったそうです。
そしてその方は酔っ払って「車さんがやりたかったことが分かった」と、無限に繰り返すのです。
帰ってから一人でしみじみ飲んだ…ような気がします。
また、その当時は「そんな程度のもの、別の現場でも何度でも作って成功してやるさ」と思っていました。でも、チャンスって貴重なんですよね…
今思うと、自分にとって「あ」きらめ てしまった苦い経験です。自分は、その現場の強みも、強みを活かせていない状況も気づけていて、それをうまく解決する案も作成できていて、そして実際それで1案件成功していて、
なんでその現場をあきらめてしまったのか。
ネットのおふざけ文化で、「太陽神」と呼ばれる方がいます。
なんで太陽神かというと、その方は元スポーツのトップ選手で、当時は現役引退されリポーターなどの仕事をされていたのですが、「そこで諦めるなよ!」と強く主張する熱いコトバの応酬が、ある意味で暑苦しいとも言われていた。でも、その方が海外に行くと日本中が急激に寒波に襲われ、その方が日本に返ってくると暖かくなる、ということが、数回繰り返されました。まぁ、偶然なのでしょうが、その結果いわゆる、ネットミームというか、ネット上の笑い話ネタとして「太陽神」「天気予報を見た次には彼のSNSをチェックせよ」などと有名になったのです。
その「そこで諦めるな」を、今の自分は、当時の自分に言いたい。
もっとできること、あっただろ?と。おコメ食べろ!と。
ラジオパーソナリティーの方は、斎藤千夏さんでした。
太陽神とは、元トッププレーヤー、松岡修造さんです。
この文書を書いている私は、うだつの上がらないオッサンですが、偉大な先輩方のコトバは、そんな自分をときどき動かしてくれたり、しています。
次に似た状況に遭遇したら、別の行動を取れると思います。
- 「あ」せらない
- 「あ」わてない
- 簡単には「あ」きらめない
【* 日々のメモ】