flat7th

music/20140316

created 2014-03-16 modified 2014-03-30 

言葉として、「弾く」と「引く」が同じ音なのは面白いです。

何の音を出すかと同じくらい、何の音を出さないかが大事なような気がしています。弾かない=引く。




先日の自分の曲なんですが、GmからC9へ行くのは、Gドリアンなイメージなのです。
この手法の(私の)パクリ元は、キャロルキングさんです。

曲の中で、パートの始まりのコードって大事じゃないですか。Gmから始まると、キーの雰囲気としてもGマイナーな雰囲気なのですけど、平行調メジャーが、Bbメジャーというより、Fメジャーな雰囲気なんですよ。

別の言い方をすると、VImから始まってるのではなくてIImから始まるような。

また別の言い方をすると、属調(CキーからみたGキー)に含まれるコードをしれっと使う。

それで、メロがその特徴音を、あえて使わないんです。
私は よける とか、さける とか、弾かない=引く とか呼んでいます。
Cキーで言うと、F音がシャープしたコードを弾くんだけど、メロディーはF#音を使わない。

アルバム「タペストリー」の中でそんな曲をキャロキンさんが書いていて。It's Too Late とか。

意外に思われるかも知れませんが、You've Got A Friend もこの手法を使っています。
Aメロの歌始まりの直前の部分、マイナーキーなんだけどメジャーのツーファイブです。
IIm7-5 じゃなくて、IIm7 。
メロが始まってない…つまり…メロの存在自体でよけている(w)




そんで、先日の曲の話に戻るんですが、Amまではキーの雰囲気はそのまま、そんでAdimを使うのはGメジャーキーのドミナントコード群の一つなのですけど、Gマイナーの雰囲気の中で使うとメロディックマイナー風になったり。

そんな事を考えながら作った曲でした。

こんな曲を作ると、バッキングパートを誰かミュージシャンの方にお願いするときは、大変になってしまうのですけど…「大変な事をお願いするときは、ちゃんと何をやりたいのか説明できるひと」でありたいと思っています。




僕が尊敬するシンガーソングライターさんの、浜田裕介さんは、これの「下属調」版をよく使われます。

下属調(Cキーから見たFキー)に含まれるコードをしれっと使って、メロはその特徴音、Bb音を通らない。

これはロックの曲にはよく出てきます。

スリーコードって、キーCで言うと Cコード、Fコード、Gコード ですよね。
そこに、Fのスリーコードである Bbコード を入れるのは、よくあるんです。bVIIメジャーコード。

bVIIメジャーコードで有名なのは…いろいろあると思いますが、
スリー・ドッグ・ナイトのヒット曲で Joy To The World ていうのがあって、私はこの曲を思い出します。

https://www.youtube.com/watch?v=dFypAB7nYGA

ビートルズの We Can Work It Out なんかもこれですよね。




Cキーで、BメロやサビがFコードから始まるとして、その手前に C7 を置くことは、よくあります。
で、その更に手前に Gm を置くと、スムーズでかつ豊かな響きになります。
普通だとCキーではGメジャーコードじゃないですか。そこにFキーのGmを入れる、という話。

解説するひとによっては、CキーでGmコードを使うことを、ドミナントマイナーと言ったりします。

作曲するときにこのコードを発想する元としては
・フォークソング風に「ギターで適当にコードを抑えて手の位置をずらして」作曲していて突然出てきた、と考えたり、
・流れ重視の解析では、下属調(Cキーに対しFキー)のツーファイブを混ぜていると考えたり、
いろいろと思いますが、今は私は、下属調ツーファイブ派。




音を弾かない=引く、

詳しくは、近いキー(臨時記号の増減が少しだけあるキー)からコードを借りてきて、メロディーがその特徴音をあえて使わない、

という話でした。

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